【BRODY Vol.3好評発売中】アイドルとプロレスの親和性を小島記者×『KAMINOGE』井上編集長が語りつくす

今、新日本プロレスを中心にプロレスが盛り上がりを見せている。一時期は暗黒期とまで言われ低迷していたものの、何故ここまで見事なV字回復を果たせたのか。90年代のプロレス黄金期を第一線で取材し、現在はアイドル記事も数多く執筆する小島和宏記者と"世の中とプロレスするひろば"を標榜する雑誌『KAMINOGE』の井上崇宏編集長を迎えて、BRODYならではの視点で新日本プロレスと現在のアイドルシーンの因果関係を紐解いていく。

ここでは記事の一部を公開する。



DDTプロレスのリングで、新日本のエース棚橋弘至がこのパフォーマンスを行ったという現実。今、プロレスは大きなうねりの中にある。

写真/(C)DDTプロレスリング


小島和宏(こじま・かずひろ)

1968年生まれ

ライター・編集者

89年、大学在学中に『週刊プロレス』の記者になり、92年にベースボール・マガジン社に入社。近年はももいろクローバーZを中心にアイドル関連の取材・執筆多数。


井上崇宏(いのうえ・たかひろ)

1972年生まれ

『KAMINOGE』編集長

2006年に有限会社ペールワンズを設立し、以降は代表として同誌を編集。2015年には「一時休刊」中だったプロレス誌『ゴング』を復刊させたことも話題に。


「アドリブとフライングが横行する新日本のリング」


──ここ数年、新日本を中心にプロレスが盛りあがってきていて「ブーム再燃」と言われています。


小島 ぶっちゃけちゃうと、僕は棚橋弘至にまったくノレなかったんですよ。


井上 いわゆる暗黒期のですよね。棚橋にはノレないっていう男性ファンはわりと多いです。


小島 自分よりも若い世代がトップになったからピンと来ないのかな、とも思っていたんだけど、オカダ・カズチカが出てきて、この2人による対立ラインがハッキリしてきたことで、グッと面白くなってきた。2011年ですかね、オカダが凱旋帰国したのは。


井上 「まっさら」だったのがデカかったんじゃないですか? オカダ自身は中卒でプロレスに入っているから実はキャリアがあるんだけど「まっさら」な状態で登場してきて、今の新日本プロレスのやりたいこと、見せたいことをイチから体現してきたキャラですから。


小島 新しい目玉商品がドン!と出てきた感じ。いきなりIWGPのベルトを巻いたことで、あぁ、新しい物語が始まっていくんだ、と。新しい物語だから先が読めないし、どんな結果になっても新鮮だから、ついつい追っちゃう。それで観戦習慣ができるんですよ。


井上 実は僕、オカダがめちゃくちゃ好きなんですよ!


──えっ、本当ですか!? KAMINOGE読んでますけど、ちょっと意外です(笑)。


井上 いやいや! だって、めちゃくちゃプロレスが上手いじゃないですか? よく「プロレスを上手い下手で語るな、強いか弱いかで語れ」って我々世代は言うんですよね。でも、オカダの場合「上手い」といっても、そのレベルが「上手い」という言葉を超越しているから、感嘆せざるを得ない! ミスが一個もないんですよ。


小島 羽生(結弦)くんがフィギュアで高得点を叩き出す感覚に似ている。なにも失敗しないから、試合を見ていて、フラストレーションをまったく感じない。


井上 ゲームより完成度が高いんじゃないですか? と言っても『ファイアープロレスリング』のカクカクした動きとは比べられないですけど(笑)。あと現場で取材していてわかったんですが、彼のビッグマウスって実はキャラじゃないんです。言わされているわけでもない。本当にシュートで言ってるので、あれに本気でムカついているレスラーもいますから。


小島 僕も何回か取材させてもらっているんですけど「現代のプロレスに必要な要素はすべて僕の試合に入っているから、僕の試合を入場から見ていたら、他にはなにも見る必要がない」みたいなことをサラッと言う。


井上 ハニカミながら、笑いながら言うから、これは言わされてるのかなと思っていると、実はマジだったりする。


小島 昔、似たような感覚を味わったことがあるな、と思ったらウルティモ・ドラゴンなんですよ。彼と知り合ったばかりのころ、取材じゃなくて日常の雑談の中で、サラッと「俺って天才じゃないですか?」と(笑)。周りとはレベルが違う、みたいな話になって、最初はびっくりしたけど、世界で成功するにはそれぐらいの感覚じゃないとダメなんだよね。


──オカダ選手が、そのウルティモ・ドラゴンが校長を務めていた『闘龍門』出身なのも面白いですよね。しかも「レベルが違う」というところも合致している(笑)。


井上 オカダの発言が結構マジっていうところが、今の新日本プロレスの面白さにもつながっているんですよ。結構ね、どのレスラーも会社から与えられたキャラクターを忠実に演じているように思われがちですけど、それは大きな誤解! アドリブ、フライング発言はバンバン横行しているし、みんなセルフプロデュースがしっかりできている。プロレスラーの自己発信力が高まっていて、その集合体が今の新日本プロレス。だから面白くなっている。


小島 アイドルファンの読者に向けて説明するなら、2011年ぐらいのAKB48みたいな状態ですよ。前田敦子と大島優子が総選挙でセンター争いをしていて、その周りに篠田麻里子がいて、板野友美がいて、たかみなやまゆゆもいる。そこにはガチな発言やナマの感情も溢れていたし、本当に先が読めなかった。


──ポジション的には棚橋が前田敦子で、オカダが大島優子になるんですかね。


小島 だからマンネリだなんだと言われているけれども、1・4ドームは毎年、棚橋対オカダがメインでいいんじゃないか、と。あっちゃんと優子のセンター争いで、総選挙を何年も引っ張ってきたわけだし。

(つづく)


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